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キリスト教学Ⅰ 第13講 ゲストスピーカー 柳美里さん



 7月13日㈫のキリスト教学Ⅰ第13講では、「柳美里さん」をゲストスピーカーとしてお招きしました。柳さんは、第31回みんゆう県民大賞のふるさと創生賞を福島民友新聞社から受賞され、授業の中で、福島民友新聞社 中川俊哉社長から祝福のご挨拶とその授与式も実施されました。

 その後、キャリア教養学科2年生の三瓶ゼミ生が、柳さんとのトークセッションを繰り広げてくれました。震災以降、桜の聖母短期大学で開講されている「福島学」という授業で、度々、南相馬市を訪問している三瓶千香子先生のゼミ生が、柳さんに直接伺いたいことを準備してくれました。

 大型モニターには、ゼミ生が考えた9つのアイコンが映し出され、柳さんが一つ選択すると、そのアイコンを準備した三瓶ゼミ生が質問しました。
 最初に、柳さんが選んだアイコンは、右下の「崖をよじのぼる」アイコンでした。質問内容は、「南相馬市に書店を開業して、やりがいを感じたことや、大変だったことはなにかなど、困難だったことや乗り越えるためにした事」でした。
 柳さんは、震災直後に立ち入り禁止区域となる小高地区に行ってみようと思いついたこと、2012年2月には「暮らしの中に、悲しみがある」ことが分かり「共苦」(共に苦しむ)のために、鎌倉市から南相馬市に家族で転居することに決めたということでした。転居して、南相馬市の高校に通われた息子さんの部活の送り迎えの際に、駅前が真っ暗で、そこに「灯」が必要だと感じ、周囲からは困難だと言われた新刊書店を開店することにしたそうです。困難なことはたくさんあったけれども、自分が必要だと「思い・ついた」ことを諦めなければ、必ず誰かが助けてくれるということを、奇跡とも思えるような具体的なエピソードと共にお話して下さいました。


 続いて、柳さんが選んだアイコンは「馬のキャラクター」で、南相馬市の良いところをたずねられた柳さんは、ラジオ番組を通して600人以上の人と対話したが、嫌な人が一人もいなかったということと、顔と顔との付き合いをしながら、誇りを持って暮らしている南相馬市の人々が良いというお話をしてくださいました。
 次に柳さんが選んだアイコンは「ハート」で、福島に転居する前と後での作風等の変化についての質問でした。16歳で演劇の世界に入り、20代で小説を書き始めた柳さんは、「痛みや苦しみから解き放れたい」と願い、様々な作品と出会ってきたが、当時の柳さんにとって世界は限られたものだったそうです。福島に転居して、様々な人々と出会い、話を聴く事によって、自分のアンテナが高くなり受信の範囲が広がったことと、暮らしを営む生活を丁寧に描くようになったそうです。
 柳さんの実体験に基づいた深いお話と、それを丁寧に、また、見事に引き出した三瓶ゼミ生の2年生たちに、受講生の1年生は感銘を受けていました。
 最後に、1年生の代表が、感謝の気持ちを込めて花束を贈呈し、感想を述べました。

 柳さんが以前お書きになったエッセイ、タイトル「光をもたらす他者」にあった
「苦しみながら苦しみから脱するには、他者の存在が不可欠です。自分で自分を癒すことは出来ません。癒しは、他者によってしかもたらされないのです」という文章と本日の講演内容が、まさに今、学生達が学びつつあるキリスト教のカトリックの価値観「ゆるしは、他者の中に神の光を観ること」と一致していました。
 地域貢献をされている方を表彰するという福島民友新聞社様の、それこそ地域貢献の機会に同席させて頂けた幸い、学びの場である教室、そして、限られた時間でしたが、学生一人ひとりに豊かな学びと祝福があった授業でした。

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