【キャリア教養学科】アカデミックスキルズ~性犯罪に関連する法を学ぶ~
キャリア教養学科の1年生が履修する「アカデミックスキルズ」は、大学での学修に必要な基礎力を養うための必修科目です。さまざまな分野の先生方による輪番制講義「ぐるぐる」では、学生たちが複数の専門領域に触れることで、自らの関心や視野を広げていきます。
今回紹介するのは、その中の一つ「法学」の講義です。テーマは「性犯罪と法」。日常生活と隣り合わせの問題である性犯罪について、法律の視点から学びました。
講義ではまず、近年の性犯罪に関する刑法改正の内容とその経緯を丁寧に学びました。たとえば、従来の「強姦罪」が「強制性交等罪」へと変更され、犯罪行為が拡大し被害者の性別が限定されないようになった点や、非親告罪化された点、厳罰化された点等を具体的に学びました。これらの改正の背景には、社会の価値観の変化とともに、性の多様化が進んだ現代社会にマッチした内容にする意図や性犯罪の被害の大きさを考慮した刑罰にする意図があったことも丁寧に講義されました。
しかし、改正によって処罰の対象が拡大・厳罰化された一方で、その影響として「有罪判決を得るための証明のハードル」が以前にも増して高くなってしまうという問題も生じています。今回の講義では、そうした問題点を象徴するような判例事案について学びました。
学生たちは事例を学ぶことで、性犯罪の立証がいかに難しく、また現在の法制度のもとで「真実」を証明することの厳しさを実感していました。学生たちからは、「加害者を罰するのが当然だと思っていたが、立証がどれほど大変かがわかった」「法律は被害者の味方だと思っていたけれど、そう簡単ではない」等という意見が出ました。
さらに、今回の講義では、性犯罪に「遭わない」ために自身ができることについても触れました。相手に誤解を与えないような言動の大切さや、マッチングアプリなどを通じて知り合うことや初対面の人との飲酒に潜む危険性など、自分の身を守るための現実的な知識も学びました。
「性犯罪なんて自分には関係ないと思っていたけれど、実際にはとても身近な問題だった」「どう対応すればいいのかを学ぶことができてよかった」といった感想も多く、学生たちは自分自身の生活とつなげながら学びを深めていました。
「性」や「犯罪」というテーマは、時に敬遠されがちですが、自分にも関係のある問題として向き合い、法律を通じて社会の仕組みを知ることで、学生たちは大切な視点を得ることができたようです。
ぐるぐる学習の一環として行われた今回の講義は、法学への関心を育てるとともに、現代社会を生きるための力を育む貴重な学びの場となりました。