言の葉だより 第1葉(2026年6月)
話し相手としてのELIZAからAI心理相談アプリへ


言の葉だより 第1葉(2026年6月)

話し相手としてのELIZAからAI心理相談アプリへ

 米国留学時代に使用していた心理学の教科書〔Myers, D. G. (1992). Psychology. 3rd ed. Worth Publishers.〕を久し振りに読み返してみた。その中の一節に、MITのJ.ワイゼンバウムによって1966年に開発された黎明期の自然言語処理プログラムであるELIZA(イライザ)が紹介されている。ELIZAは、まるでC.ロジャーズの心理療法アプローチを模倣したかのように無条件の肯定的関心と共感的理解に溢れた受け答えを画面上に適宜表示してくれる素朴な対話型コンピューティングシステムである。しかし当時のユーザーは「所詮はワイゼンバウムがプログラムした来談者中心主義セラピストのパロディだ」「彼女は何も『理解』してはくれない」と一刀両断している点が興味深い。

 時は流れ、2026年の巷には当時とは比較にならないほど高性能なAI心理相談アプリが溢れるようになった。情報処理の精度は格段に飛躍し、24時間いつでもアクセス可能な「話し相手」がスマホ空間の中で加速度的に拡散され続けているのが現状だ。

 「18~20歳の学生がAIを安易な心の支えとして依存してしまう事態を回避し、生身の人間関係からの情緒的引きこもりおよび孤立化を抑止するための具体的有効策を3つ以上挙げて」と、ついついAIに尋ねてみたい誘惑に駆られている。

桜の聖母短期大学 キャリア教養学科 講師
臨床心理士・公認心理師
後藤 真

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